
鹿皮は人間界において最初の衣服と言われる程古い物ですが、中でもキョンは独特の歴史を持っています、また世界中にキョン、またキョンと思われる言い伝えがあり常に最高級の物として扱われてきました。
日本では最初登場するのは卑弥呼の時代、卑弥呼が中国三国時代の魏の国に使者を送り魏の国の王(曹操の長子、曹丕)からその返礼として親魏倭王の印綬、銅鏡等と一緒にキョン皮が送られました。
*この由来は中国では春秋戦国時代以西周王朝(BC1000年)程度から中国に伝わるキョンの由来から来た物でキョンの皮を持つ物は家系を輪廻させ継続し、国を司る力を得る・・と言われて事から慶事の贈り物として使われたのが始まりです。
この後日本でも上記の由来から同じような目的で使われ輸入され続けました・・
日本では鹿信仰が有りますがこの鹿信仰の殆どは日本の和鹿を指すのではなく、このキョンを意味しています。
鹿信仰は藤原不比等による奈良興福寺南円堂の不空羂索観音(鹿皮観音)を中心としますが、これもキョンを指し余りにもご利益が大きいため天皇家、藤原家のみが祈願できる物とし一般の人々には閉ざされた観音像だった事でも有名です。
また日本書紀(古事記)にもイザナギの尊が黄泉の国でキョン皮の袋を破りこれを食して生きながらえた事、また仏教ではお釈迦様が入場する時に鹿の柄の杖を付き鹿の衣を着て入場したと言い伝えられ、仏教のみならずヒンズー教ではシバ神が鹿の衣を着て力の象徴にもなっています、これらは全てキョンを指し中国古来の言い伝えを生かした物です。
奈良時代に入ると本格的に中国からキョンの輸入が始まりこの輸入は鎖国時代の江戸末期まで続き江戸中期には全輸入物の中でも最多量を誇るようになります。
キョン皮は位を与える時の贈答品の一つとして使われ、色々な装飾品、武具などの材料にも使われ始め室町時代には既に皇族、豪族、武士上部勢力の宝物として扱われ戦国時代に入ると有力武将の家紋、鎧等にも使用されるようになり江戸中期になると豪商などの一般階級にまでキョンの袋物などが流通して行き、宝永7 年富士山の噴火の後、日本中から富士山の見物が流行し甲斐、甲府甲州でお土産物として印伝商品として消費し一般化していきました。

上記のようにキョンは非常に古くから日本の文化にも関わり昭和に入ってからキョンはセーム処理技術の日本独特の技法が定着しメガネ、刃物、カメラ、洗車等の拭き物として定着しました。
現在セームはカメラ店、楽器店などで本物を扱っておられる所は殆ど無いに等しいと思います。
ましてや、大手の車洋品店、ホームセンターでは絶対に無理です。
PCの普及によりネット上で簡単に情報が手に入る現在、ネット上のセームの評価はと言うと余りにも悲惨な物でした・・
■カメラのレンズにはセームは使用しては駄目ですよ
■楽器の手入れにセームを使うのはとんでもない・・
■車の洗車にセームを使うと黄色くなり絶対使っちゃ駄目・・
■洗えると書いてあるが洗ったら硬くなって使えなくなった・・
等など・・と評価されており、私たちは驚いた次第です。
(セームと名の付く全く違う商品を本物のセームと思い込んで書き込みされた文章)
これらの責任は私たちにあります。(私たちの先輩)
当社本社地は奈良県宇陀郡菟田野町と言いまして本当に山の中です、車で5分 走れば東吉野村です、ここは日本でも唯一の毛皮鹿皮の地場産業をもつ生産地で昭和40年代には成人人口の80%がこの産業に係わった程なのですが・・
毛皮の部門では日本で唯一のプロの集結地であり、大手アパレルも毛皮に関しては私たちの技術と知識を必要として頂いています。
しかし、鹿皮はそのシェアの95%を確保しながらセームに対してはこの有様でした、それは鹿の売上げの85%は剣道具を中心とした武道具で私たちが鹿皮と言うと武道具様なんですね・・セームは3%の数字も持っていません、また、武道具用のほうがはるかに利益率も良いからです。
本来の理由は昭和50年代まではメガネやカメラを買うとサービス品でセームが付いて来ていたのが普通でした、車の場合の各メーカー愛車セットの一部として付属品になっていました、しかし、これらは私たちが直接売っていたのではなくブローカーが中に入って卸していたのです(当地域は田舎で生産は完全なのですが、営業は全く致しませんでした)
このブローカーが安売り合戦をし粗悪な物を持って行き、それと同時期に人工のメガネ拭き・クロス、今はスパークロス等が出回り、メガネ・カメラのメーカーもコストの面もあり殆どが人工品になったのです、様は粗悪品、類似品と人工クロスを比べて人工を取ったのです。
この状態を私たちの先輩たちはバカなブローカーが悪い物を持って行くからだ・・・と笑っただけだったのです、自分たちの利益に殆ど関係なかった為・・・また、再度自分たちで営業に行く事もしませんでした・・。
“自分達にとって鹿皮は武道具なのですが、消費者様にとっては鹿皮とはセームだった事を完全に忘れていました”
勿論メガネ業界・ハサミ業界・楽器業界でも品質に拘るところは、この本物のセーム以外使わず現在に至っているのが当社のセーム3%の売上げです。
上記の状態では完全に本物が忘れ去られてしまう・・・また、人工では絶対に有り得ない性能を本物のセームは持っている事を私たちは自負しています。また、インターネットなどで情報が簡単に手に入る現在、セームの評判はと言うと本当に酷い物でした、これでは昭和50年代の状況と同じであり、1000年近く続いた鹿皮の歴史を覆してしまう物になってしまいますので、危機感を感じ遅まきながら何とかしてみようと色々手を打っている次第です。

※鹿皮を使用した物
(最高級はキョン・・*常識があればキョンのみしか使いません)
※アルカリ膨醇ナメシ後鱈肝油還元させた物
※染色していない物
(セームの色は魚油還元時に自然に発色する物です、色物はありえません)
上記以外は世界タンナーズにより本当はセームと言う名前は付けられませんまた、本物を製造できる業者は無いに等しい状態です。
