オーディオ業界では近年、高級スピーカーで王道として用いられてきたセームを使った「セームエッジ」が話題を呼んでいます。オーディオに用いるためにはなるべく中心部の薄くなめらかな部分を用いることが重要で、より音の響きを追求するにはウレタン加工などがされておらず、かつ硬化加工がしてあるものが望ましいですが、そのような最適なものはインターネット上では、なかなか手に入りません。
古くは和太鼓から、セーム・キョンセームの特性を知り尽くした春日の革職人が、スピーカーエッジに最適な本物のキョンセームをお届けいたします。
SPエッジ素材に一番重要な性能は「伸縮性」と「耐久性」です。キョンセームはこの2点、特に伸縮性において、圧倒的な性能を誇ります。セームエッジをドーム型に成型するために、糊・樹脂などで成型したり、美観のために染色すると、この伸縮性が損なわれてしまいます。あくまでも本物のセーム独特の類稀な伸縮性こそがセームエッジの命ですので、成形・染色されていないものを利用されることをお勧め致します。本物のセームエッジを用いて劣化したエッジを修理することは、単に音が出るようにするのではなく、より素晴らしい音を出すためのフルチューニングです。
左が和鹿、右がキョンの繊維細胞(いずれも吟面を100μmにて撮影)
※左右にスライドして見比べてみてください。
※吟面とは、皮の中でもとくに肌目の細かい表皮面のことです。
スピーカーエッジの交換方法の例を以下に説明します。ただし、スピーカーの半径等によって最善のセッティングが異なる場合もありますので、お困りの際はお気軽に当社までお問い合わせください。
⇒まず、スピーカーのユニットを丁寧に取り外します。
元々付いていたスピーカーエッジをきれいに取り除き、凸凹が残らないように清掃します。
⇒コンパス等を用いて、スピーカーエッジの大きさに型取りします。
⇒きれいに清掃したスピーカーエッジに、接着剤を塗布します。厚塗りになりすぎないようにご注意ください。
接着剤を塗り終えたら、③で型取りしたキョンセームを丁寧に張っていきます。キョンセームは柔らかいため上下左右に伸びやすい性質がありますが、張る際にはあまり引っ張りすぎず、やさしく載せるような感覚で貼り付けてください。
接着が完全に乾燥したら、解体した部品を元の通りに戻して完成です。