PHILOSOPHY春日の哲学

すべての命への尊敬

私達人間は、安全な暮らしとより快適で豊かな毎日のため、衣・食・住において、様々な文化を発展させてきました。古くは農耕、そして狩猟、 家を持ち、街をつくり― 植物や動物のたくさんの大切な命の上に、今日の私達の文化があります。
皮革製品は、「人類最古の衣料」とも言われ、夏の暑さ・冬の寒さから人々を守り、またある時には、馬具や武道具として戦いに欠かせない存在として活躍してきました。現代においても、鞄や靴などの耐久性と審美性を要求されるものや、防寒衣服の材料など、生活のあらゆる場面において人々に重宝され活躍しています。

皮革製品を製造する私達のものづくりの根底にあるのは、「すべての命への尊敬」です。
皮革製品や肉食文化は動物の命を、紙や木造住宅は木々の命を、都市の発展は植物や虫達の命を頂くことで成り立っています。微生物の命、それを栄養源にする植物の命、それを食べて生きる動物の命、それをいただいて社会を営む私達の命、いずれも等しく命です。私達は、ものづくりにおいて、末永く愛されて受け継がれる「本物」の品をつくることこそ、命を尊敬することであると考えています。

母から娘へ、そしてその子へと受け継がれるものを

今日、日本社会は「高くても良いもの」よりも、「とにかく安いもの」が重宝される社会となって久しく、私達が製造する毛皮・レザー製品に限らず衣食住すべての文化において、「本物」を知らない世代が大多数を占めるようになりました。本物そっくりの「イミテーション」「フェイク」は、安価に本物らしさの一端が楽しめるエンターテイメントですが、その多くは、流行とともに飽きられ、また耐久性が低いために使い捨てられてしまいます。
例えばフェイクファーに用いられる化学繊維は、長く見れば生き物の命によって出来上がった石油を用いて作られています。フェイクレザーの下地になる布地は、綿を摘み取って作られます。何らかの命の上に成り立っている以上、どんなものでも「永く使えるものを、大切に使う」という態度こそが、命を大切にすることであると私達は考えます。

だからこそ、安易な作り捨て・使い捨てに走らず、「何世代にも渡って使ってもらえる良質なもの」を、「素材への敬意を忘れずに」つくるという姿勢を大切にしたものづくりを、これからも私達は行っていきたいと考えています。

歴史と責務

当社の所在地である奈良県宇陀郡菟田野区は、“国の始まりは大和の国、郡の始まりは宇陀郡”と万葉集に歌われるほどの歴史の古い地域です。古くから毛皮・革産業がさかんで、その歴史は明日香時代にまで遡ることが出来ます。現在でもこの地域は日本唯一の毛皮革の産地であり、この地域だけで、鹿皮、特に武道用原皮に関しては世界シェアの95%以上を保有しています。

古来からこの地域に伝わる技術・処方を受け継ぎつつ、時代とともに最新の技術も良いものは取り入れ、また当社の歴代の職人が培ってきた手法を駆使して、原皮の収集から加工まで全てを当社で行います。
また、「本物」が妥当な価格で使用される方に届くような仕組みをつくるべく、こうしたオンライン販売にも取り組みはじめました。
常に本物のみを生産しお届けし続けることを旨とし、これからも皮革文化を継承し、また質の向上を牽引できるように、たゆまぬ努力を続けてまいります。

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